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古民家維持に欠かせない、雨樋の修理で押さえるべきポイント

2018年5月に工事をした、丸亀市内のゲストハウス「ふらっと」。

オーナーのフミくんはこの後、簡易宿泊所の許可を取るために保健所や消防所に奔走して、無事に認可が下りたそうな。 最初は民泊での申請から始めたが、紆余曲折あって、簡易宿泊所で通したそう。 これはまた別記事にしよう。

オープンを目前に、追加工事を頼まれた。 樋の補修、自転車置き場作り、縁側作りというちょこっとした工事。


土壁はボロボロ、柱の入れ替えもしたぐらい結構傷んでた。


構造を直した後、焼杉の板を張った。


折角の焼杉も、樋がないので瓦から落ちる雨の跳ね返りで、裾が変色してる。 このまま何年も放っておくと劣化するのは間違いない。


わかりにくいが、真ん中を頂点にして両方に雨を流すような勾配にしてある。 で、両サイドに縦樋を入れる。 距離が短いと片方に流して、縦樋も一本でいける。


こういう風に水糸に樋受け金具を合わせる。 この時、樋が水平で且つ真ん中に雨が落ちるようになるかを確認する。


何とここは上記の条件を満たすように設置しようとすると、垂木を外れてしまう!


角材をビス留めしてカサ増しする。


これでOK。


軒樋を乗せる。


縦樋を入れる所にはチーズという分岐の部品を入れる。


これがエルボー。 水道用のエルボーは90°だが、樋用のは70°。


これは樋用ボンド。


縦樋を接合する。


ボンドを塗って。


エルボーをつけて、壁面までの距離を測る。


ジャストな長さに切った縦樋をつける。


下まで伸ばして。


壁に縦樋を固定する控金具。


3箇所打ち付ける。


樋を入れてパチッとカシメる。


これで完成。


こちらも。


ここは銅板製の「タニ」からの大量の雨水が集中する場所。


タニの下にマスを設け、下にも樋受けをつける。


瓦の上には落とさず、樋から樋へと配管するのが基本。


上の樋は105㎜、更にその上の谷からの流入を考えて下の樋は120㎜にした。 105㎜のマスから出る縦樋は60㎜、120㎜のマスの方は75㎜となってる。


最終的には雨水を用水路に誘導する。


バッチリ完成!

家が古くて、元々の瓦の裾のラインが湾曲してたりと、多少調整が必要だったが、上手くいった。 古民家における樋の修理は必須! 樋が悪い事で、バシャバシャと雨水が落ちて外壁や柱を濡らす事で、劣化を早める事になる。 二階の樋が壊れる事で、一階部分の瓦に直接雨が落ちる事で、一箇所に雨水が集中して瓦がズレる原因になったり。

今回はふれなかったが樋だけでなく、「タニ」も重要。 増築したりして複雑な作りになると必ずタニが設けられる。 昔のタニは概ね銅板製。 昔はそれが一番劣化しにくかった。 しかし現代では酸性雨の影響で、銅板に穴が開く。 ただでさえ雨の集中するタニに穴が開いたりすると、大変な雨漏りになる。

雨漏りのチェックや樋のメンテ。 ここはあらゆる家の寿命を延ばすポイントだ。

よく雨漏りの原因を見るけるのはプロでも難しいと言われる。 それは台風の強風に煽られて雨水が逆流したり、毛細管現象などあり得ない経路で漏れる場合の話。 そういう年に1~2回の雨漏りで家は腐らない。

まずは今回のような日常的に普通に落ちる雨水対策が重要なのだ。

実際に雨の時に雨水がどう流れるのか? 樋が詰まってないか? 毎回の雨で木部が濡れてるような箇所はないか?

こういうちょっとした気遣いで、直す必要のある部分は誰にでも分かる。 「ここに雨が落ちないためには?」 とちょっとイメージするとすぐに分かる。 で、ちょこちょこ実践する。

このようにちょっとしたメンテを日常的に実行すればそう簡単に家は傷まない。 反対に、全くの放ったらかしではいくら新しい家でも徐々に劣化する羽目になる。

樋の詰まりを直すぐらいは誰にでも出来る日常的なメンテ。

日々ちゃんと自分の家を見つめよ! それが、大事にならない大一歩だ!!!

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