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淡路島「おのころ雫塩」の塩釜据え付け完成

廃材天国の陣です!

2019年の夏にコツコツと溶接作業を続けて完成した塩釜の現場搬入の様子です。

これを淡路島は洲本市の五色浜にある末澤さんの「おのころ雫塩」の塩屋に据え付けて来ました!

Contents

釜の積み込み

2tダンプをリースして釜2台を運びます。

対角線に高ナットを溶接してアイボルトを取り付けます。 M16のアイボルト45度2個吊りで450㎏まで耐えられます。

ワイヤーをシャックルで固定します。

ユンボで吊って積み込みだーーー!

ジャン!

と、、、。 ここでハタと、 「現場にはユンボないやん!」 という事に気づきました、、、。

下ろす時は荷台の右に積んである丸太で三脚を作り、チェーンブロックでという算段でした。

「どう考えてもこの三脚でこの高さは届かんわー!」

ダンプからの荷下ろし

で、平積みに変更して無事淡路島到着です!

早速、三脚を組んで下ろしにかかります。

が、、、。

「チェーンブロックのストロークが足りん!!」

三脚の足を土が盛り上がった部分に移動して、何とか吊るせましたー!

ここまで来るのに何度も三脚の組み替えと、チェーンブロックの掛け替えを繰り返し、、、。 三脚の位置を移動しよう! 三脚の角度を変えよう! ダンプの進入角度は? などと、試行錯誤を繰り返しました。

途中で内心「ユニックリースして来るんやった、、、。」と後悔し始めていました。

何とかギリギリでダンプが逃げられる高さまで上げられました!! いやはや、ホッとしました。 これが下ろせないのでは仕事は全く進みませんからねー。

何とかなったというよりは、いつもの直面力を存分に発揮して、 「何とかしてやった!」 という感じですね、、、。

上手くいったーーー!!!

今度は軽トラに積み替えます。

建屋へ釜搬入

軽トラに積み替えたのは、この建屋の中に入れるからです。 これは大工仲間のマサが建てたんです。 マサが淡路島に移住した先が、この末澤さんの塩屋の近所だったというご縁です。 何年か前からマサに 「数年後には近所の塩屋さんが釜をやり替えたいと言ってるんですけどお願いしていいですか?」 と言われていたんですね。

末澤さんが2016年に天草の塩釜を作った記事を見てくれていて、 マサに「陣さんに依頼したい。」と言ってくれたんです。

無垢の杉板張りで立派な塩屋です。

今回の釜新造の経緯

末澤さんが7年前に開業した塩屋が一番左の奥の建屋で、 その右の角材で組んだヤグラが流下式の海水濃縮装置です。 そしてこの度新築したのが右のマサが建てた塩屋です。

実は現在の塩屋の更に左の方は台風による侵食が進んでいるのです。 塩屋の奥の山肌が見えているのは海岸が侵食されて、土砂崩れを起こしているのです。 ここ最近の台風の強さは本当に恐怖です!

末澤さんも早く移転したいという計画を着実に進めて来られたのです。

そういう事情とは別に鉄製の釜の寿命は約7年だそうです。 これは天草の松本さんの所でも一緒です。 という訳で、 「折角釜を新造するのなら場所もいい所に!」 と、移転と釜の新造を兼ねた大工事になったのです。

ここでも廃材は大活躍しています! うちの料理や暖房や風呂の消費量の比ではありません。 毎日毎日一年中塩の釜には火を入れ続けるのです。

現在の塩屋の裏はかなり侵食されてて、ギリギリ大丈夫という感じなのです。 煙突が3本見えますが、この建屋の中で2台の釜が稼働中です。

釜の据え付け

さあ、新たな建屋の中へ1台目の釜が入りましたよ! この耐火煉瓦は予め末澤さんが作っておいてくれた煙道です。 煙道とは釜から煙突に煙を抜くための通路になります。

ここでもチェーンブロックで一旦吊るしておいて、 軽トラを逃して釜を下ろすという作戦です。

マサの建屋に仮の廃材梁を渡します。

末澤さんが敷いてくれていた耐火煉瓦を一旦除けたので、 釜をチェーンブロックで吊るしてる間に再度敷き詰めます。

一台目の釜は無事に下ろせて、2台目の搬入です。

同じ要領で据え付けます。

バッチリ位置が決まりましたー!

煙道作り

後はこの鉄板を固定して、煙道を作ります。

煙が抜ける通り道にしてはえらくデカイと思われると思います。 はい、デカ過ぎるぐらいです。 この煙道の容積や煙突の容積に比例して 「煙の引き」 が強くなるのです。

薪を燃やして温度をあげるには空気が必要です。 煙突が短かったり、煙道が細かったりすると、 くべた薪に酸素の供給が追いつかず、焚き口から返ってくるのです。 しかしこういう容積の大きな煙道を構えて煙突も長く設定する事で、 ジャンジャン薪をくべてもエア不足になる事なく、バンバン燃えてくれるのです。

煙道の後ろの突き当たりに「煤掃除口」がない事に気づきました! 一旦耐火煉瓦をバラします。

こういう掃除口を設けました。 丁寧に耐火モルタルで目地を詰めます。 普段はこの口に耐火煉瓦を差し込んんで蓋をしておいて、 煤掃除が必要な時だけ外します。

ドーンと鉄板を置いて、本体との接合部分を溶接します。 奥にチラッと見えている小型ウェルダーを持ち込みました。 エンジンウェルダーの180Aぐらいだと、3.2mmの溶接棒でバリバリ溶接出来ます。

煙突工事

ステンレスの煙突を立てます。 煙道の蓋に淵をつけてあるのは、キャスターを流し込めるようにするためです。 アサヒキャスターというのがメジャーな製品で、自分で練る既調合の耐火素材です。

鉄板だけだといくら厚くても、ジワジワと錆で痩せてしまいます。 耐久性という意味ではキャスターは耐火煉瓦と同等なのです。

「キャスター」「キャスタブル」とも言い、厚みのある型枠の中に流し込んで成形するもの。 「耐火モルタル」は耐火煉瓦の目地材として使うもの。 これはどちらも1,200℃を超える高温の中でも収縮せずに耐火出来る素材です。

煙突に自作のV字型支持金具を取り付けます。

ジャジャン!

いやーーー!! これで遂に完成です!!!

後はマサがここに壁面を作って、 末澤さんがキャスターなどの仕上げをして完全に出来上がりとなります。

末澤さんのこだわり

何と言っても、まずはこのロケーションです! 淡路島の海岸のすぐそばに土地があり、塩屋があるんです。 向こうに見えるのは小豆島です。

まず海から取り込んだ海水を濾過する装置を見せてもらいました。

これは逆浸透膜という濾過装置です。 この装置によって、単なるゴミなどが取れるだけではありません。 マイクロプラスティック、環境ホルモン、果ては放射能でも除去出来るとさえ言われています。

その濾過した海水をこのヤグラを循環させる事で、 風と太陽の力で濃縮します。

もうもうと湯気を上げる鉄釜でゆっくりと煮詰めます。

ボイラーじゃなく、薪で焚く事でゆっくりと結晶化して大粒の塩になります。

ボーメ計で23ぐらいになると、塩の結晶が始まります。

この濃度で隣の仕上げ釜に移します。 こちらの釜には布が敷いてあります。 鉄錆などが結晶した塩に混じらないための工夫です。

こーんな板状の結晶も出来るそうです!

こんなピラミッドのような結晶も!!

「おのころ雫塩」で検索して下さいね!!

そもそもJTの「食塩」というのは「イオン交換膜法という海水に電極を入れて、塩を分離させる方式で作られます。 これで出来た塩は、塩化ナトリウム99%以上の精製塩です。 釜で炊いた「おのころ雫塩」のような「自然塩」の塩化ナトリウムの率は80%程。 この2割の違いってかなり大きいのです。 100g中の20gもある訳ですからねー。 ここにマグネシウム、カリウム、鉄分、マンガン、カルシウム、亜鉛、、、、という身体に必要なミネラルが含まれるのです。


コンビニ弁当、スーパーのお惣菜、安物外食産業、、、。 それらがこんな素晴らしい塩や純正の調味料を使えないのはコスト的にしかたがない。 しかし、ソコソコの割烹やホテルのレストランでも、 塩はおろか調味料にこだわってる所を探す方が難しい。 そのぐらいお店やプロの料理人では採算ベースにのらないのだ。 なので、毎日食べる料理こそ家で自分で手づくりせよ! こういう塩なり純正調味料を使って、出汁を引き、旬の魚や野菜で料理する。 仕事や子育てにおいても、毎日欠かす事の出来ないのが食事だぞ! 1年にたったの365日しかない、それ×数十回しかないのだ。 一日一日の食事をおろそかにすると言う事は、 生きる事そのものをないがしろにする事に他ならないぞ!!!

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