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古民家をリフォームして、ジビエ解体施設を作る④【内装、設備から完成まで】

廃材天国の陣です!

やっとこさの完成編ですよ〜!! 今回は内装や設備関係のノウハウです。 ジビエ施設に限らず、飲食の営業許可を取る際にも役に立つ内容満載ですよ!

Contents

前回までの流れ

内装工事

まずは下地です。 内装材はアルミパネルやOSB合板という3×6(サブロクの)規格のものを使います。 サブロクとは、3尺×6尺の事で、910mm×1820mmというサイズです。 たまに合板でも900mm×1800mmというものもありますがマイナーです。

下地を入れる時に最も大事なのは「ワリ」です。 材料をどのように使い、どこでカットするかを決めるのです。 この腰元部分は防水性を重視してアルミパネルを採用しました。

写真の上の方の土壁にラインが入っていますね。 これは、野遊が土台の上から910mmで割を取っていたのです。 柱のツラに下地を合わせるために土壁を凹ませていた訳です。

ところが、土台までアルミパネルで覆った方がいいという事で、 下地を変更して下に下げました。 これで、コンクリの基礎の上から910mmまでアルミパネルを張れます。

アルミパネルを張ります。 固定はスリムビスです。 ビスを見せないためにはボンド×フィニッシュネイルというのもアリですが、 確実に固定出来るのはやはりビスに軍配が上がりますね。

ここで大事な事は角度です。 材料は確実に直角ですが、家は完全に直角とは限りません。 張り始める際には、この事を念頭に入れておかないといけません。 特に距離が長くなると、徐々に基礎から上がっていったり、反対に下がっていったりという事になるんです。

アルミパネルの上はOSB合板です。 これは普通のコンパネよりも粗い目が特徴のラフな雰囲気の合板です。 さすがにコンパネだけ張っても仕上げ材には無理がありますが、 これはこのラフさを逆手に取って、敢えて仕上げ材として使うのもアリなんです。 たまにお店の一部に使われてたりしますよね。

9mmと12mmとがありますが、 こういう壁面材として使うのであれば9mmで十分です。 そして9mmの相場は980円などのホームセンターもあり、普通の合板よりも安いのもありがたいです。

天井材にもOSB合板を使います。 既存の無垢の梁を見せる事で、古材とOSBとがお互いを引き立て合う効果を生むのです。 これがなくて、全部が全部OSBではちょっとねー。

キッチンパネル

キッチンパネルとは「不燃化粧板」の通称で、 「セラール」や「セラリエ」などの製品が有名です。 3×6版と3×8版があり、これは3×8で、910mm×2440mmです。

3m×3mの1次室に採用しました。 ここは猪や鹿の内臓を出したり、ジャンジャン洗ったりという部屋です。 先ほどの部屋よりも、更に水を多く使うのでこれを採用しました。

キッチンパネルの固定は専用の両面テープとボンドです。 テープとボンドを交互になるようにします。

これが専用ボンドです。

この両面テープは強力で、一度貼ると剥がせません。 一発勝負なので慎重に!!

こちらの部屋も上はOSB合板です。 サッシドアを取り付けました。 各部屋には密閉性も求められます。

コンクリートの床はコンクリート用の塗料で塗装しました。

組み立て式冷蔵庫

荷物が届きました。 大家さんのフォークリフトで荷下ろししてもらいました! これは1.8m×1.8mもある業務用冷蔵庫です。 猪や鹿の枝肉をぶら下げてエイジングするために用意したのです。

内装の出来た二次室に運び入れます。

組み立てます。 実際に室内で組み立てると超デッカイもんです!

天井裏の梁にレバーブロックをかけて、浮かせて配置しました。

完成!

手洗い

手洗い3点セットです。 これは1次室、2次室それぞれに要ります。 飲食の営業許可を取る時にも、流しとは別に必ず必要になります。

キッチンパネルには予め、ホールソーで穴を開けておきます。

キッチンパネルの裏は空洞で、ビスが効きません。 なのでちょっとした裏技を使って固定します。 まず、手洗いを当ててみてケガきます。

OSBの切れ端を取り付けます。 取り付けると言ってもこれもビスが効きません。 まず下穴を開けています。 小さなスリムビスは板の仮固定用です。

こういうボードアンカーを使います。

下穴にアンカーを差し込みます。

これでガッチリ固定されました。

バッチリ固定されました! 常識的な工法ではないかもしれませんが、十分使用に耐えうる強度は出ていますよ。

目皿を取り付けて。

トラップを取り付けます。

こんな感じです。

同様にして2次室にも取り付けます。

流し台、給湯器

流し台にはステンレスのフレキ管で繋ぎ込みます。

給湯器への給水の為にフレキを分岐させます。 塩ビ管にチーズを入れて分岐させるのは簡単ですが、 フレキの場合は特殊な工具が必要になります。

パイプカッターです!

フレキに添わせて回転させてカットするんです。 最初は「どやって使うん?」というような道具ですが、 一回やってみれば、「なるほどー!」という感じです。

袋ナットを通します。 これがねー。 慣れない頃はよく忘れるんですよ。 先に入れておかないと、この後の「ツバ出し」をした後で、 「忘れとったーーー!!」 と、折角作ったツバをカットしてやり直してました、、、。

ツバ出し工具の「マジックパンチ」です。 18,000円と安くはないですが、設備職人も使う信頼の出来る工具です。

山を三つ分潰すようにセットします。

これで下から玄翁で叩きます。

ちゃんとペチャンコに潰れました。

これで分岐完成です。

給湯器に繋ぎました。 これは電気給湯器で、何と85℃という高温のお湯が出ます。 何でも、殺菌用にこういう高温のものを付けないといけないとの事です。 普通のガス給湯器などは60℃以上のお湯は出ないようになっていますからね。

コーキング仕上げで完成

最後の仕上げのコーキングです。 少々の隙間はこれで埋めます。

これで完成です!

実際の獣の解体はまず、一番右の軒下(0次室)に猪や鹿をぶら下げて高圧洗浄機で洗います。

次はこの1次室に入って、内臓を出します。 頭や皮も外して枝肉にします。

更に2次室に進みます。 ここでは枝肉ごと大型の冷蔵庫でドライエイジングにする事が出来ます。 そして各部位に切り分けて真空パック&冷凍保存をする部屋です。

部屋の4分の1を冷蔵庫が占めています。 突き当たりの奥まった所に冷凍庫が二台入ります。

という訳でこれで全ての完成を見ました! 長い記事を読んで頂きありがとうございました。

全行程で丁度3週間の工事でした。

おまけ

すぐ近くの由良川で捕れる手長エビという川エビです。 近所の方が捕ってくれました!

素揚げに塩で最高の酒の肴でしたーーー!!

これは日本海のヒラマサです。 野遊が捌いて刺身にしました。 瀬戸内海のハマチとはまた違った美味しさでしたよー!

この鯵の刺身は土歩作です。 小さな青魚も鮮度がいいと、刺身は最高ですね!

毎日朝から夕方まで目一杯仕事していても、 こうい美味しいもんは自分たちで作るのが最高です。


今回も怒涛の流れでやりきったぜ〜〜! イレギュラーや想定外の事も色々とあった。 このぐらいの規模の工事になると、 最初から最後までイメージ通りに進む事の方が少ないのだ。 それでも、その場その場で臨機応変に対応する。 仕事が上手くいくかどうかは、 その直面した状況にいかに対応出来るかにかかっているのだ。 スキルやマニュアルじゃない、こういう直面力を手に入れろ! それは常に 「絶対に自分でやり遂げる!」 とい執念のような鋼の意思だぞ。 「廃材だけで自分で家を建てるんだ!」 と決めて実際に何年もかけて建てた。 それが今の仕事の現場でいかなる状況になろうとも、 必ずクリアする源になっておる。 自分で決めて自分で達成した経験は何ものにも変えがたい。 言い方を変えれば一度こういう経験をすると、 どこで何をしようと、「何とでも出来る!」という自信がつくのだ。 そう、これからだって別に大工専業でやっていこうと思ってる訳じゃないしー。 悠々自適で自由な人生には「決意する」部分と「固執しない」所とのメリハリが必要。 選択肢は無限だぞ!! そして日々自分で納得のいく事を選ぶのだ!!!

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