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古民家をリフォームして、ジビエ解体施設の建設をする③【建屋の小屋組み】

廃材天国の陣です!

古民家改修シリーズです。 家の構造を作る工程の事を「小屋組み」と言います。 今回は土台から柱を立てて、屋根仕舞いから外装までの流れです。

Contents

前回までの流れ

まず土台作り

前回作った基礎の上に土台を置く所からです。

これは大家さん(銘木専門の製材屋)に提供して頂いたヒノキです。 写真では分かりづらいですが、赤身と言って芯の部分です。 何年間も乾燥しているにも関わらず、とても重くズッシリとした材料です。

廃材建築家としては、滅多に使う事のない高級材です。 廃材天国での仕事以外では大抵ホームセンターの材木を使う事が多いです。 その方が施主にとっても安くつきますからね。 よっぽどまとまった量や、規格外の材は行きつけの材木屋で加工してもらいます。

低速ドリルに長いキリを付けて、穴を開けます。 この時、ドリルを使う本人では完全に直角は出しづらいのです。 少し離れた所から別の人が合図を送って、 「もうちょい倒して!」 「ほんのちょっと起こして!」 と指示します。 そうするとほぼ直角に開ける事が出来ます。 特別な道具や機器を使わずとも、二人居たら出来る技です。

これはホゾ穴を開けるための下穴です。 太めのキリで大まかに開けておくと後が楽なのです。

後は丁寧にノミで開けます。 ケガいてある線は3寸角の柱が乗る部分です。

同時進行で既存の壁を貫通させます。 土壁部分はバールとハンマーで叩くと簡単に壊す事が出来ます。 基礎部分はハツリで破壊します。

基礎の上のボルトに通して土台を置きます。

座金とナットで締め付けて完全に固定します。

柱を立てる

まだ梅雨の開けていない時期で、ブルーシートの下で柱を立て始めます。 最初、柱は不安定なので仮の筋交いで固定してフラフラしないよういしておきます。

どんどん組んでいきます。

奥から手前への片屋根です。

家本体の柱にも刻みを入れます。 何とこの家の土台と柱は全て栗の木が使われていました! 針葉樹と違って広葉樹は硬くて腐りにくい最高の材です。 しかし、現代ではこんな材料を使おうとすると、 とんでもなくお金がかかるというより、まず手に入らないです。

玄翁で叩いて。

ノミで均します。

桁を接合します。

全体像が見えてきました。

梁が2本乗りましたー!

間柱も入れたり、手前の軒下部分も見えてきました。

屋根仕舞い

淡路島のマサに教わった垂木の継ぎ方です。 直角に継ぐと段が出来てしまうのでこうするんです。

これで構造は完成です!

ガルバリウムの波板を張るための下地として、胴縁を入れます。

波板を張ります。

ジャン! 筋交いも入れてバッチリ強度も出ました。

断熱材と外装

グラスウールの断熱材を入れます。 ジビエ肉の解体施設なので、エアコンは入れますが熱効率という意味で断熱材はベターです。 特に屋根は波板、外壁はプリントトタンという簡易的な素材を使います。 こういう場合には断熱材はとても有効です。

断熱材の外に胴縁で下地を作って、木目のプリントトタンを張ります。 このように軒が小さい場合の外装材はコスパはもちろんですが、耐久性という意味でプリントトタンは最高です。 見た目の雰囲気では焼杉がクールなのですが、軒を深くしておかないと耐久性は著しく悪くなります。

プリントトタンを張りながら、サッシドアも入れます。

「二次室」の入り口を二重にするために更に増築。 この施設は厚生労働省のHACCP(ハサップ)という基準を満たすように作るので、 ドアを開けるとイキナリ外というのではマズイそうです。

外してあったアルミサッシを入れます。

サッシドアを付けて。

これで完成です。

と、怒涛の流れでサクサク進みました。 やはり家を建てる中でも、構造の小屋組みは一番楽しいもんです。

普通は基礎は土木屋、構造は大工さん、という分業で行うのですが、 自分であらゆる作業をした方が、全ての工程を施主とリアルタイムで打ち合わせをしながら進める事が出来ます。

特に今回のように、施主自身が工事に参加するのが一番最高です。 こうする事で、作業中に、 「陣さん、ここはちょっと変更したいんです。」 とか、逐一自分好みに出来るからです。

それから完成後にも、 「確かあそこに配管が通ってるな。」 と、使う自分自身で把握が出来ているというのが凄いメリットなんです。 何かトラブルがあったり、将来改修したい時にも役に立ちます。



家作りにおいて、あらゆる工程を自分でやる。 これが意義深い。 次々と押し寄せる課題をクリアしていく醍醐味! 「うわー、どうしよ〜!」という困難から、 「おっ!こうしよ!」と閃き、 乗り越えていくのだ!! 毎日同じ仕事ばかりで飽き飽きしないのか?? 決して自分自身を飽きさせるなよ! 惰性でおざなりな仕事なんぞクソ喰らえだ!! めくるめく創造と歓喜の伴った毎日を送ってみよ!!!

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