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古民家の腐った柱の交換と、床の全面リフォーム

3回目となる高知の渡貫家の廃材建築での古民家改修工事。 月に一回づつ通ってる。

今回も2泊3日で行ってきた。 前回の日記のカンナとノミの研ぎ作業はこの作業のため。


いっつもこの美しい川が羨ましい。


今回はいよいよ母屋の改修。 山側の柄や柱の根元が結構腐ってる。 座板も腐ってたし、大引きと根太を兼ねた材も結構悪い。 こういう改修工事は実際に外し始めないと、どこまでやるかが見えてこない。


コレも悪い、アレも腐ってる、とほとんど取り外した。 奥に見えるのは掘りごたつの跡。


洋介くんがもらってる廃材の中から必要な材を物色。 家一軒分の立派な材木。 うちのように解体された家の廃材じゃなく、構造だけ建てて、完成に及ばなかった家の材木を丁寧にバラして保管してたのを頂いたんだと。


現場に持ち込んで切ったり、カンナを当てたりする。


相当腐りの激しい柱。 真横から大バールで殴ったら折れてしまいそう。


ジャッキで持ち上げて横に新しい柱を添わせる。


この手前の柱から何本か悪かった。


こちらはジャッキで持ち上げてる間にチェーンソーでカットして、新しい材を入れた。 それでは強度が弱いので、横に新しい柱を添わせてボルトで引きよせて固定。


柄を新たに入れて、縦横から長いキリで貫き、ボルトナットで締めつける。


この柱も根元はボロボロ。 かと言って、悪い所をジャンジャン外すばっかりしてたら、いっそ建て直した方が、、、という結論に至る。 どうにかこうにかガマンできそうな腐り加減の材は、むやみに外さない。 この横の大貫も周りは腐ってるけど、芯は活きてたので、残して、柄で受けた。


今度は床を受ける大引きと根太を兼ねた太い材を新規に入れる。 これは元々のホゾ穴に入れるために、5寸角の柱を加工した。


バッチリ入った。


二本目からが難しくなる。 周りの敷居との水平を見て愕然、、、! コッチと水平合わせると、アッチとの水平が合わないという現象が起きた。

既存の家そのもののレベルが一定じゃない。 柱が腐ってる方に家が傾いてるとかいう「傾向」すらない。 アチコチの水平がちぐはぐで、柱さえ垂直じゃない。 厳密言うと3次元的なグニャグニャの状態。 それに合わせて、何とか新しい床を水平に近付けたり、建具がちゃんと動くようにしないといけない。 これはプロならもっと徹底的な大改修になると思われる。 それを何とか3日で粗方のメドをつけて、洋介くんに渡さないといけない。

途中、一瞬頭を抱えたが、いつものノリで強引にツジツマを合わせる。 そうするしかないのだ。 住む本人と一緒に作業して、常に本人の同意の元でやってるから大丈夫。 どうにかこうにか住むレベルに持って行くためには、アホらしい程の細かい事のためにこだわって途方もなく労力をかける訳にはいかない。

よく、こんなボロい家を借りたものと感心する。 買った家ならいざしらず、借りた家をここまで住む者が直すか? 洋介くんからすると、この新しい作業が楽しくてしかたないんやと思う。 この経験は必ず次に活きる。

「自分の住む家を自分の納得する所まで自分で直す」 こうすることにより、責任を持って作業出来るし、逆に不必要な手間なり、細かい所は割愛できる。


最終日は大雪になった。


どうにかこうにか全部の大引き兼根太を入れ終えた。 奥の部屋など、3m以上も飛ばすので、梁や桁に使う15㎝×21とか、12㎝×25㎝の4m超えの材料を加工して使った。 こんな立派な材料はうちでも中々お目にかからない。 解体屋から来る廃材は大抵4tダンプの荷台に乗る3mに切られてしまってるのだ。


ついでに一部凹んでた部分も半間分出して、家を広くした。 材料がふんだんにあるからこういうのは自由自在。

洋介くんは作業を始めて、というか住み始めて一年も経ってないのに、解体現場を見つけては声をかけて現場で一緒に作業をしながらあらゆる廃材を集めてる。 床材も結構いいのが揃ってたし、アルミサッシも一組あった。

そう、自分の日当はタダなのだ。 時間はいくらかかっても構わない。 大借金して、それの返済が迫られてる訳でもない。 田舎で既成概念から自由になり、自分の納得する生活をするということは、「いつまでにしないといけない」という強迫観念からの解放なのだ。

増税? インフレ? ワーキングプア?

そんな国家の政策なり、経済情勢なんかどこ吹く風だ。 自分で責任を持って生きさえすれば。

覚悟を決めろ! 地に足をつけろ!

フワフワと妄想せずに朝から夕方まで作業せよ!

渡貫家の仕事で助かるのは要らないおやつが出ない事と、食事がウチと同じく玄米菜食な事。 朝一からバリバリ働き、午後に眠くなる事もない。 頭脳も明晰で、クールな仕事に、食のクオリティーだけは妥協出来ないぞ。 シネマちゃんの料理にはあっこちゃんに教えたくなる発見が満載だった。

そういう情報交換も手作り生活の同士としては有効なのだ。

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