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水が引かない田んぼでの稲刈りの裏技

窯の屋根修理も終わり、自分家の作業と行きたい所。


が、「アートでたんぼ米」の刈り入れが超遅れてるそう。 コシヒカリなので、3週間ぐらい前にでも刈れるのが、押し押しになってる。 河野さんからの要請で稲刈りを手伝うことに。

これは5月の「アートでたんぼ」のイベント中に、トウヨウくんがジャンベ叩いて、河野さんや田村さんが定規で手植えした。 草取りも田車を押しての除草作業。 完全に無農薬、無肥料、除草剤ナシ。

今回、トウヨウくんがギニアのナンサディー・ケイタさんを連れて稲刈りに来た。 アフリカでは農作業の時に必ず太鼓がある。 「太鼓や叩かんと一人でも、田んぼの事した方がええやん。」と思う所やけどそうじゃない。 今回、トウヨウくんに聞いて納得した。

ナンサディーさんの村は4500人も居て、太鼓は彼の1チームだけ。 そうそう、みんなが太鼓叩いてる訳ではないそうな。 特に太鼓は貴重なので、子どもたちは缶を叩いたりして練習するそうな。 その中で特に熱心な子は太鼓チームについて回ったり、ちょっと大きくなると太鼓を運ぶ手伝いをしたり。 それでもよっぽどの技術がないと、晴れて太鼓奏者として村で認められはしない。 子どものうちに熱心に缶叩いて練習するのを嫌がる親もいるんだとか。 そりゃ、働き手が減るんからね。 そういう厳格な部分もあり、伝統文化として存続してるドゥンドゥンやジャンベ。


いざ、稲刈り。 でも、田んぼの水はけが超悪くて、ベチョベチョ。 こんなホテイアオイのような水草がそこら中に生えてる。


そこで、河野さんのアイデアがコレ。 トラクターのロータリーの上に番線で角材を固定して、コンパネをビス留めしてる。 この上に刈った稲を置く。 こうでもしないと、田んぼの上に置くと泥まみれになる程。


作戦は成功み見えたけど、あんまし積み込むと、田んぼから出る時に前輪が浮いて出られない。 それは稲をトラクター側へ集中させる事で解決した。


田植えするような田んぼの状態。

今年はこういう田んぼが多い。 河野さんの籾すり場に来るおっちゃん達も困ってる人が多い。 秋の長雨で田んぼの水が引かない。 特に丸亀の方と違って、高瀬のような山間部には、元々水はけの悪い田も多い。 こういう田んぼは常に周りの井手がジュクジュクして湿ってる。 その上、近年の猪の増加で掘り返しまくるから、更に水が流れない。 たくさんある田んぼの井手を全てチェックして、万全にしておく事は不可能に近い。

特にほとんどの人がコンバインで刈る。 あんまりぬかるむとコンバインが煮え込んで刈れない。 超大型のコンバイン(5、600万級)の場合はドンドン入っていって刈れるには刈れる。 でも、そんな大型の機械が田んぼの中でターンしようものなら、田んぼはユンボでも入ったんかというような状態。 当然稲だってぐちゃぐちゃになる。 機械にも負担になる。 そういう事もあって、今年は依頼して刈ってもらう人が断られるケースも相次いでいる。

じゃあ手刈りにしよか、という人も中々いない。 若者は勤めに行きながらの兼業で時間がないし、若者が居ない所は高齢化で元気がない。 そういう理由で、今年は収穫が放棄される田んぼも出てくる。 キャベツでも値崩れして、放棄された畑のを大量にタダでもらった事がある。 よもや、お米でそういう状況になるとは思いもよらなかった。


ナンサディーさん率いる太鼓隊と僕ら稲刈り隊。 太鼓のリズムで稲刈りのペースが上がっていい。


刈る人員が少なく、太鼓奏者のトウヨウくんも稲刈りに回る。


7畝ぐらいの田んぼなので、夕方早目には刈り終えた。


河野さんはハゼに吊るしたがってたけど、今は籾すり業の方が超多忙。 このまま結束もできずにみんなが帰るとこの稲はどうなるのか? という所で、田村さんが、「俺のコンバイン持ってきてこぐんじゃ!。」と即決。 刈りたての稲をすぐに脱穀してしまうと、ムシロに広げて乾燥させないといけない。 それでも、量が少ないので、河野さん、トウヨウくん、僕の3件で手分けしてムシロ干しの管理をする事にした。 何と7畝で、コンバインの袋5つしか採れんかったし。 籾すりしたら2俵(4袋)ぐらいちゃうかな。


帰って、すぐさまムシロに広げた。 コンバインの袋に入れたままだと蒸れて籾がダメになる。 一晩置くともうダメ。

これを毎日、日に干したり、雨には取りこんだりを繰り返して管理する。 水分量が14%台になればOK。 別に計測器で測ったりせずとも、噛んでカキンと割れるようになれば乾燥終了。

ともあれ、今年初の稲刈り。 収穫は嬉しいもの。 作業マニアにとってはウイリートラクターでの稲刈りは初めてでワクワクやったし。

いっつも書いてるけど、お米程効率のいい作物はない。 麦は反あたりの収量はお米の何割も少なくなる。 蕎麦なんか更に少ない。 田植え、草取り、水の管理、収穫、と数えるぐらいの作業で一年中毎日食べられる。 何より、田んぼ作業=田舎でのコミュニケーション。 昨日も太鼓叩いて賑やかに作業してたら、近所の人が「何ごとや!」という感じで見に来た。 元々、河野さんの「アートでたんぼ」の会場なので、近くの人たちも免疫がある。 うちもそうやけど、「アノ人は変わってるから。」と言われるぐらいでも別にいい。 頻繁な挨拶や、こういう作業を通してのコミュニケーションさえ出来てれば。

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