年に1~2度の窯焚き。 これは備前焼きの個人作家としては標準の数字。 粘土の精製からロクロなどの作品作り、薪作り、窯詰め、窯焚き、窯出し後の磨きまで入れると、そう頻繁に大きな登り窯は焚けるものではない。
ただ、最近は12ヵ月分の1ヵ月ぐらいしか陶芸の作業はしてない。 陶芸の作品を売ったお金で家賃払ってスーパーで買い物して生活するというスタイルから脱却して久しい。 これでも一軒目の廃材ハウスの時は12ヵ月分の10ヵ月ぐらいは陶芸に勤しんでた。 というか、今ほど医、食、住、エネルギーの自給率を誇ってた訳でもないし、今のような多岐に渡る仕事を頼まれてた訳でもなかったから。
家作りに田んぼ、畑、保存食作り、天ぷら油の回収など自給自足のための作業に時間の大半を使う。 そういう意味では陶芸はサボってる。 こんなんでは年に2回も焚くのは無理がある。 しかし実家の窯を親父と共同でやっており、親父の窯焚きに僕のもちょっとだけ入れてもらってるという感じ。
3/29にガスでの焙りを初めて、31日から薪だけで焚いてる。 今日で点火から6日目。 薪だけで焚き始めてからは4日目。 親父、弟、僕の3交代で昼夜をと問わず焚き続ける。

まだ小さい時には朝方になると窯の前でムシロにくるまって寝たりしてたけど、今では一人前に窯番をこなす。 今では僕は座って、指示を出すだけという超楽な立場になってきた。


毎日のご飯も窯の前。 玄米ご飯に味噌汁と漬けものというのは同じでも、焚火の前というのが何とも落ち着く。 これが何万年も焚火でご飯焚いて生活してきた日本人のDNA。
それに作業としての窯焚きは超ゆったりしたもの。 ひっきりなしに薪をくべ続けてる訳ではない。 窯の前に座って薪の燃え加減を見てはたまに薪をくべる。 ご飯食べたりお酒飲んだり喋ったりしながらできる作業。 今週末までは焚き続ける予定なので、まだ何日かある。
このゆったりとした窯焚きに美味しいご飯と純米酒を味わうためにも、専業陶芸家を辞めて心底よかったと思える。 元陶芸家として細々とは続けてはいこうと思う。