先日の石垣鯛を捌いた時に、出刃包丁のカケが気になった。
カブト割りや、骨を叩いて、お吸い物用にバラすとどうしても出刃はカケる。
20年近く愛用してる出刃包丁。
こういう大きなカケを普通の砥石で研ぐのは相当困難を極める。
そこで、この電動刃物研ぎ機の出番。 元々は廃材建築を始めた時、電気カンナの刃を研ぐために買った。
まずは荒砥(200番)で、大きなカケがなくなるまで研ぐ。 手で研いでたんでは、いつまでかかるのか?というレベルでも、こうして研げる。
これは中砥(1000番)で研いだ所。 ここで既にソコソコ切れるまでにはなる。 向井さんという研ぎ職人に頼んで、打ってもらった。 「倭」向井上作という銘。
土歩のリクエストで、ナタも研ぐ。
これもかなりガタガタで、刃物としての切れ味は皆無。 幅広の板を割る時ぐらいには使えるが、土歩が色々工作する時に削ったりが出来なくて、砥いで欲しかったよう。 さすがに子どもでは、電動砥石に刃物を押さえつけるには力が足りない。
バッチリ切れ味復活。
ノミも。
ここまで研ぐと、鰹節のように薄く木を削る事が出来る。
ついでに電気カンナも研ぐ。
ここからは普通の砥石の出番。 右から荒砥、中砥石、仕上げ(6000番)の順番。
6000番の仕上げ砥石で研ぐと、いよいよ強烈な切れ味になる。 特に出刃の切っ先が、魚を三枚に下ろす時の要なので、丁寧に研ぐ。
出刃包丁以外の包丁も研ぐ。 出刃以外は電動砥石で研ぐ程のカケはないので、手で研ぐ。
その時も砥石は必ず「荒砥」から。 これは刃物屋の主人に教わった、研ぎの基本。 「ちょっと研ぐだけやから、中砥でええわ。」というのを繰り返す事で、どんどん「刃」のエッジのシャープさが出にくくなる。
柳刃も荒砥→中砥石、仕上げという順番で研ぐ。 ここまで研いで手入れしておくと、次に魚を下ろす時に快適な仕事が出来る。
こういう刃物の手入れは手作り生活の鍵。 ここをしっかりやってると、何を作ってもサクサクと気持ちよく料理出来る。
チェーンソー、丸ノコ、電気カンナ、ノコギリ、ノミ、、、。 これらも全く一緒。 材料は廃材でも、道具の切れ味が悪いと、ダメダメ。
林業の職人は休憩の度にチェーンソーの目立てをする。 大工さんもノミやカンナをしょっちゅう研ぐ。 寿司職人も毎日包丁を研ぐ。
プロはこういう事を徹底するのに、家庭の包丁やDIYの道具の手入れが不十分というのはよくある。 全てにおいて、プロ仕様の道具なり、刃物を揃えるのは大変。 でも研いだり、刃を交換したりと、ちょっとの心がけで全然違う。
一つの仕事に専念する職人じゃなくとも、医食住、エネルギーの自給という生活全般を手作りするのだ。 その作業の一つ一つに、 「またあの作業かー。」 「アレって大変なんよねー。」 と重い腰が上がらなくなると、自給生活は滞る。
包丁を握るのにワクワクする。 チェーンソーの切れ味に快感を覚える。 草刈り機の作業が爽快。
という風に、 ①手入れされた道具での作業って、取り掛かる前からモチベーションがアゲアゲ。 ②作業中も快適で気持ちがいい。 ③結果として、何をやっても上手くいくようになる。
こういう順番。 特に滅多にしない作業こそ、日曜日の楽しみのような趣味的要素もある。
これこそが、 生活=仕事=遊び という公式を成り立たせるユエンなのだよ!!!
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