古い納屋を工房に改装するために押さえるべき点
- 山本 さくら
- 2018年4月25日
- 読了時間: 3分
前回の記事のコンテナの作業からしばらくぶりの記事。
今、コンテナのゲストハウス作業は中断して、丸亀市内の民家の改修工事中。 しばらく廃材天国に引きこもって、よそに出かけてなかったので新鮮な仕事。
実はこの現場も、空き家を改修してゲストハウスにするという話なのだ。
築70年の古い民家の納屋。 これは、去年神戸の民家改修工事に丸亀から一緒に行ってくれたフミくんのおじいちゃん家。 空き家になってたのを彼がゲストハウスにして活用しようとしてる。
丸亀市内でも次々と新築の家が出来つつある。 そりゃあ、空き家は増える一方!!
納屋部分は中を片付けて、工房にする。 依頼主は「丸亀うちわ」の修行中で、ここでうちわ作りをしたいと。
左の母屋をゲストハウスにする。
二階の座板を外して吹き抜けにする。
梁が超腐ってるーーー!!
ジャッキで持ち上げる。 ピシッ、ベキベキッ、と腐って下がってた梁が持ち上がる。
新たな柱を入れて。
ジャッキを外せばOK。
天井下地を作る。 吹き抜けにする事で、断熱効率が落ちる。 冬は寒いし、夏は暑い。 天井を設ける事で、幾分和らぐ。
子どもたちに天井工事を任せてる間、僕は母屋の床下に潜って、排水工事。 手前から、奥に光の見える換気口に向けて配水管を配管する。
奥の光の所が排水口。 真ん中の基礎をハツッて配水管を通す。
床下でのハツリ作業はアゲ上アゲ! 寝そべって、暗闇でヘッドライトを点けて粉末と騒音の作業。 非常にシャンティーな時間で、瞑想とも言える領域に入れる。
工房になる納屋側から、基礎をハツッて奥の換気口までラインが出た。
配管する。
配管の勾配を1m行って1cm、つまり百分の一に合わせる。
床下から戻ると、すっかりOSB合板の天井が出来つつあった。
今回の工事は、10歳ぐらい年下のフミくんと、その同級生のうちわ職人の二人からの同時依頼。 廃材天国から車で20分と程近いし、近くにホームセンターもあり、非常にやりやすい現場。
フミくんは地元産まれの地元育ちで、おじいちゃんの実家を生まれ変わらせようと奮闘中。 彼も僕と似ていて、当初は県外の海や山のある田舎に移住して、田舎暮らしに憧れてたそうな。 僕も今の実家の農地なんかに見向きもせずに、徳島や高知の山奥に憧れたもの。
しかし! 隣の芝は青いどころか、自分の今の現状から目を反らし、遠くの理想郷を追い求めてもダメダメ。
今の現状をフル活用して、自分好みのライフスタイルを送る事の方が、 遠くの理想郷を追い求めるよりも遥かにハードルは低い。 僕の廃材天国でも、昔から知ってる近所の農家のおっちゃん達のお陰で超やりやすいし。
フミくんの所でも、彼も一緒に現場作業をしてると、近所のおっちゃん達が入れ替わり立ち替わり見学に来ては、 「おおー!キレイになんりょるの~!」(キレイになってるね~) と、うれしそうに口々に言う。
やっぱり、みんな自分の近所の空き家がキレイになるのは嬉しいんだ!!
見に来てくれるおっちゃん達を話すのは、 季節の作物の話、 昔の家の話、 水路の話、 お互いの地域密着の情報交換のオンパレード。
これが田舎暮らしの最重要課題と言っても過言ではないぞ!
無農薬、 自給自足、 エネルギー、 手作り、、、、。
そんなニワカジコミの話題よりも、地域で営々と生きてきた方々の話は心底深いものがある。
僕らは、経済成長後の生まれで、物心ついた頃にはカラーテレビ、冷蔵庫は当たり前、 農作業で言うと、トラクターにコンバインが当たり前の世代。
それ以前の全てを手作業でこなし、尚且つしこたま年貢を納めてた昔の百姓にはいくらリスペクトしても足りないぞ。
毒を食らわば皿までも!
田舎の地域社会の持つ、歪んだ軋轢も否めなくはない。 農協と農薬、自民党と原発、のような経済優先の未来の命を疎かにする利権の数々、、、。 それでも! それを通り越して、僕らの先祖はその中で脈々と命を営んで来たのだ。
その先人なくして、今の僕はないし、今の社会はあり得ないのだ。
軽はずみに、オーガニックだロハスだとのたまう前に、田舎のおっちゃんに最大限の敬服をせよ!!
そうしなければ、田舎社会で快適に生きてゆく事は不可能だし、 先祖に感謝する事も出来ないのだ!!
それが出来なくて、自分の代や子ども代の生活のエコだロハスだと話題にする事など言語道断だ!!!
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