「倉庫を改装してお店にリフォームシリーズ」
コンクリート土間打ちの前の話。 クラッシャーとワイヤーメッシュの準備が出来た後、ミキサー車の予約日まで何日かあった。
壁面を張るための下地工事。 寸3角という、38㎜×38㎜の角材を使う。 この上にはケイカル板を張る。 板の寸法は910㎜×1820㎜なので、この角材の芯から芯までを910㎜にする。 これを「ワリ」と言い、使う材料によって決まってくる。
長手方向の芯を1820㎜に合わせる。
お施主さんの希望は、 「コンクリートのような無機質な仕上がり」 というもの。 そこで、ケイカル板という材料を選択した。
ここはイタリアンのレストランになる予定。 床、壁、天井はコンクリートの用な風合いの塗料で仕上げるそうな。 とにかくシンプルな仕上げにしたいと。
多田さんも加わり、4人体制での作業。 野遊の使ってるスライド丸ノコは秀逸で、熟練したスキルがなくてもミリ単位で正確にカット出来る。
換気扇をつけるための枠。
ある程度はグラインダーで切れるが、角部分はマルチツールの鉄切り用の刃でカットする。
塗装コンパネでスキマを埋める。
有圧換気扇をつけた。 家庭用よりも、この「有圧」という業務用のは吸う力が強い。
これは天井下地を入れてる所。 梁を見せるように上に天井を張る。 角材は見えない部分なので、ストックしてあった廃材を使う。
よっぽど、廃材の雰囲気を味として出す場合以外は、依頼された仕事の場合は廃材は使わない。 今回のようなケイカル板で仕上げる場合は裏に隠れるので、廃材でも問題ない。
この角材の固定は上のスレートとのスキマが少なくて、インパクトドライバーが使えない。 これはアングルビットというアタッチメントをつけて上からビスを打ってる所。
これがアングルビットの分かりやすい使い方。 電線を通すために穴を開ける。 こういう風に木工用のキリを付けて穴を開ける事も出来る。
下地が完成したので、ケイカル板を張り始める。 ケイカル板は石膏ボードよりも硬くて、通常は軒天に使われる。
どんどん張ってゆく。 材料は確実に直角だが、家は直角とは限らない。 この場合、基礎のコンクリートが、微妙に右が低い。 張り始めの「ワリ」は右からなので、その分一番右のケイカル板を若干上げて張り始めた。
スリムビスで打つ。 これが仕上げなので、エアのタッカー&ボンドというのもアリだが、強度的にビスの方が確実。 後でコーキングやパテなどで埋める。
左が普通のコースビス、右がスリムビス。 頭が小さいので、打った後が見えにくい。
スリムとは言え、もちろんビス跡は見える。
バリをペーパーがけする。 これは、最後にコーキングで穴を埋めるため。
集塵機、集塵丸ノコ、タジマの定規、この3点セットがあるとバッチリ! 石膏ボードを切る時も同様。 集塵機がないと外で切らないと大変な埃で苦しくなる程。
これはコンセントの穴をマルチツールで開けている所。
いくら正確に直角に切っても、微調整は必要。
これは最近登場した、タジマのボード用のヤスリ。 4,000円を超え、値段もいいが超使いやすい。 今までにも似たようなモノはあったが、これはとてつもなくよく削れる。 荒削りと仕上げ用が裏表になってる仕様のもの。
最初の位置決めだけは二人一組でやった方が能率的。 土歩がインテリアバールで、少しだけ持ち上げてミリ単位での調整をしてる所。
どんどん張り進める。
これは縦引き定規を使って、細長い板を作ってる所。
天井も張り始める。
天井裏には断熱材を入れる。
断熱材の幅は430~450㎜で、丁度下地の角材と角材の間に入れるようになってる。
こんな感じでスキマなく敷き詰める。
壁面と天井を同時進行で進める。
壁と天井が仕上がってくると、随分店らしくなってきた。 このケイカル板にコンクリート風の塗料を施主自身で施工される。
コンクリートのように見せる、「コンクリートエフェクトペイント」と言うものがあるらしい。 サイトを見ると、本当にコンクリートのような仕上がりに!! 最近は金属風の塗料や、エイジング塗料など、様々なものがある。 実際に使った事はないが、面白そうではある。
今回は、最低限の部分をウチがやって、この塗装やカウンター、生パスタの製麺室、テーブル、イスなど、 お施主さんのセルフ工事で作っていかれる。 今は勤めに行かれてるので休みの日にコツコツ作って、来年の春から週末ごとにオープンさせたいと。
何と、施主ご夫婦は数年前にイタリアの田舎に1年間住まれてたそう。 その経験を活かして、いわゆる商業的レストランとは一線を画するアットホームなレストランにされたいとか。
庭にはトマト、ピーマン、大根、白菜などの野菜や、バジル、ルッコラ、フェンネルなどのハーブ類も充実してて、 こういう食材を使って作る手作りの料理は最高。
手作りは無添加で安心という以前に、市販のソースやタレを使わないオリジナルで、 ちゃんと研究された料理は確実に美味しい。
まさに、そういうお店を探してる層にはうってつけのお店になりそうだ!!!
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