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【塩を煮詰める釜を作る】天草まで鉄板を運んで溶接して作った

前回の記事の続き~。

熊本は天草に塩釜作りに行って来た報告。

去年の11月に下見に訪れた時の様子 ここから話は始まった。

で、その下見の記事を見た、「桜の山農場」の耕太郎くんが、一緒に行きたいと申し出てくれた。 自然養豚を中心に、有機農家の彼は、セルフビルド、天ぷらカー、 と、廃材天国に共通する自給自足生活を実践してる。

未知なる今回の大型の塩の釜の製作に対して、最高の助っ人になった。 既存の釜の解体から、新釜の溶接、あらゆる工程のスーパーサブとして活躍してくれた。


まずは6㎜の大きな鉄板の搬入が、最初の難関。 いつも世話になってる鉄工所で、図面を渡して切断してもらってた。


どうしても室内に入らない大きさの鉄板はルーフキャリアに乗せた。 ガッチャと小型チェーンブロックで、ガッチリと固定した。


後の部材は室内に。 何しろ全部で800㎏の鉄板。 更に、この上に溶接機やキャプタイヤなど、荷物満載で出かけた。


無事に「天草塩の会」の松本さんの塩屋に到着。 片道700km、出来るだけ高速に乗って9時間という道のり。


前日入りして、釜の解体をしてくれてた松本さんの友人の大工さん。 耕太郎くんと僕の3人で釜の解体作業。 ガス溶断と、鉄用のチップソーを丸ノコに付けて、の釜の切断。


特に後ろの余熱用の釜の傷みがハンパじゃない。

365日火を入れない日はなく、毎日焚く事で、釜の傷みは少なくなるそう。 本焚き用の釜よりも、火の弱い余熱用の釜の方が先に傷むとか。 鉄と塩との不思議な関係。


6㎜もの鉄板が6年ぐらいで、こんな大穴を開けられてしまう。


後ろの釜をひっくり返して、切断。


何とか半日ぐらいでバラシ終えた。


中々切るのが大変なので、ギリギリ動くぐらいのサイズにして、強引に軽トラに積んで捨てに行く。


すんごい量の灰を出して、新たな釜を据える準備を整える。


後ろの部分から組み立て始める。


中からと外からと、周到に溶接する。


どんどん枠を作ってゆく。 こちらは本焚き用の釜の下の窯部分の枠。

煮炊きする上の部分が「釜」。 火を入れる下の部分は「窯」と書く。


いよいよ塩水を入れる釜の製作。 塩水が漏れないよう細心の注意を払いながらシッカリと溶接する。

このために鉄工所の社長や、造船に勤める職人さんに色々と聞きながら練習してきた。 耕太郎くんも独学ながら、かなりのスキルを発揮してくれた。 特に縦向き溶接が上手くて、僕もコツを教えてもらった。


こちらが本焚き用の釜部分。 形が複雑で、どの面にどの部材を付けるかで、結構悩んだ。

「落とし」という出っ張りの部分があるために複雑な構造になってる。 ここに塩作り中に発生する、カルシウムの結晶を落として取ったり、塩の結晶もここに落として取る。

6㎜の厚みを考慮して、部材を切断してくれてるので、その通りに組み立てないと、ある部分で6㎜飛び出したり、、、。 「これはどうしても、切らないと合わないよねー。」 「いやしかし、完璧に合うようにカットしてくれてる筈やし!」

と、試行錯誤を繰り返し、、、。 「この鉄板をこっちの面につけるんかー!」 と、バッチリ合う組み合わせを見つけた。


裏返して、補強の井桁部分の溶接。


底部分の溶接。


本体を起こして溶接したり。


ジャン!!

でけたーーー!!!


バルブもつけて、いよいよ完成!


完成するやいなや、塩水を入れる。 これは濃縮した塩水じゃなく、普通の海水。 これで、捨て焚きを何度もしないといけないとか。


本焚き用の釜にも海水を入れる。


点火!!!


どんどん廃材をくべて火力を上げる。


もうもうと湯気が出る。 満水の海水で、水平に釜が据えられてるのが分かる。

この水蒸気にも塩分が含まれて、建屋の木材から、道具類まで、劇的に劣化させる。 しかし、釜を焚く人間には吸い込むと非常にいいそうな。


一度沸いたら、海水を捨てる。 早速鉄の錆が出て濁ってる。


「落とし」のコーナー部分にジワーッと染み出す箇所があったので、しっかりと溶接して肉盛りする。 こういう事が出来るのも、現地で溶接するメリット。


またまた次の海水を入れる。


松本さんと耕太郎くんとで、完成記念撮影。

実際の作業は4日間。 行き帰りに丸二日間。 作業しながら、ご飯時には松本さんから貴重な話を聞けた。

「桜の山農場」と「廃材天国」では、塩作りのプロを目指す訳ではないのに、 自分たちが使う一年分の塩を自給しようと、超盛り上がってる。

松本さん曰く、 塩が結晶化するまでに、カルシウムの大量の結晶が出来る。 そこに、重金属や化学物質は吸着される。

瀬戸内海の海水で塩作りをする事に懸念を抱いていた僕には、目からウロコの情報。

そりゃあ、天草の海のようなキレイな海に越した事はない。

しかし、 「自分で自分の使う塩を自給する!」 という、所に情熱をかける。

その「やりたい!」一心が、塩作りを実現させるモチベーションになる。

それと松本さんが、鉄工のプロでもない僕に釜作りを依頼した理由にしびれた。 年を取った鉄工所の職人に頼むのではなく、僕にさせる事で、 「塩作りのノウハウを後世に残してくれる筈だ。」と。

うーーー!! これは、まず自分で自給してみんとなー。

今回得た具体的な塩の自給のノウハウ。 まず、松本さんの天日塩用の小屋のような小屋を作る事。 そこで、夏に海水を濃縮してかん水を作る。 ボーメ計という比重計で計り、10%ぐらいに濃縮したら、釜に入れて焚く。

これは実現不可能ではないどころか、実際に取り組めそう。 こういう風に、実際の塩作りの現場から、自分の自給用のフィードバックを得る。 そして、実践する。

医食住、エネルギーの自給を全て一気に考えると、途方もない事になって、出来る気がしない。 しかし、うちのように16年もかけて、コツコツと一つづつ取り組んで来ると、実際に出来る事だらけ。

出来る気がしない→出来る事だらけ

これよコレ。

僕自身もここまでやれるとは、当初思いもよらなかった。

廃材を集めに解体現場に通い、 ユンボを借りて整地して、 電柱を埋め込んだり、廃材で家を建て、 五右衛門風呂作ったり、 給排水や電気工事にも挑戦して、 陶芸の窯も自作して、一軒目の生活を築いた。

二軒目の今や、 井戸も掘ったり、 廃材ソーラーでの電気の自給も実現したり、 移動式のピザ窯や薪ストーブを溶接して自作したり、 料理、風呂、暖房と、完全に薪の生活が実現した。

やればやる程、どんどん便利で快適に進化するのが自給自足生活。

そこに至るには、あらゆる先人の知恵から閃きを得て、自分のものにするという行動力が不可欠。 その、行動に移すモチベーションが全てを握る。

「うおーーー!!!」 「やってみたい!!!」

と、実際に薪生活やセルフビルドの先輩を見て、憧れた。

感動したら、行動に移さざるを得ないんよね~。

そうして色々と実践してきた。

今回の塩釜作りで得た感動も、大きかった。 これは、塩の自給に向かえというメッセージだ。

さあ、また廃材でチョチョイノチョイと小屋を建てて、塩の自給やったるぜ!!!

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